車好き、特にスポーツカーに乗ってると避けて通れないのが空力の悩みだと思う。
フロントリップを付けたり、GTウイングでダウンフォースを稼ごうとしたり。
まあコペンなんかオープンにしたら空力なんてどうでもよくなるけどw
で、そんな感じで結構話題になるのが「リアバンパーのパラシュート効果」だ。
サーキットを走ってるガチ勢の車両とか、ドラッグレースを戦うフルチューン車を見ると、リアバンパーに派手な穴(スピードホール)が開いてたり、思い切ってバンパーの下半分がカットされてるのを散見する。
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あれを見ると
「効果あるんだな!」
って思うわ。
「バンパーの中は袋状になってるから、走れば走るほど空気が溜まって、まるでパラシュートを引きずってるみたいに抵抗になってるはず」
「この穴から空気を逃がしてやれば、最高速が伸びるんじゃないか?」
「加速が鋭くなるんじゃないか?」
俺も昔は燃費が良くなると思ってバンパーに穴あけてたからその気持ち分かる。
んがしかし、冷静に考えてみた。
「穴を開ければ速くなる」
車好きの間(特に某車系SNS)では常識みたいに語られてるこれ。
物理学の、それも流体力学っていうちょっと小難しい世界に足を踏み入れてみたら実は真逆の答えがみえてしまったわけですわ。
「空気が抜けるんだから抵抗は減るやろ」
俺だってそう思ってました。
いや、
そんなふうに考えていた時期が俺にもありました
でも、空気っていうのはマジでムズい。
マフラーの排気だって、排気温度が高ければ粘度が増す、つまり抵抗が増えるんだよ。
良かれと思って開けたスピードホールが、逆に目に見えない巨大なパラシュートを作り出して車を後ろから力いっぱい引っ張っているとしたらどう思う?
せっかくの軽量化やパワーアップがバンパーに開けたその数個の穴のせいで台無しになってたら、めちゃくちゃもったいない。
っていうか何のために穴を開けたんだっていうレベル。
ってなわけでそんな「パラシュート効果」という言葉の裏に隠された意外すぎる真実を。
ネットに転がっている「なんとなく速そう」な噂話じゃなくて、計算と理屈でこの「確定」問題を徹底的に解剖してみようじゃあないか、というわけ。
正直言ってこの内容はこれまで
「バンパーカット最強!」
と盲信してきた人にとってはショッキングな内容かもしれんけど、本当の意味で「賢く、速く」なりたいなら、避けては通れない道。
このブログは、あくまで物理学と計算という、誰にも動かせない『世の中の普遍的な理屈』をベースに車を考えてる。
「いや、理屈はどうあれ俺の車は体感で劇的に効果があったんだ!」
という情熱派の方は、この先は見なくて大丈夫です。
あなたと住んでいる世界が根本的に違います。
物理学もあなたの世界と違うので、お互い一生理解し合えることはありません。
議論するだけ時間の無駄になっちゃうので、そっとページを閉じて、みんカラも即ブロックしてお互いの幸せな世界で生きていきましょう!!
さて、それでも残った「理屈派」の皆さんと「物好きな」皆さんと「コッソリ見ている住んでいる世界が違う」皆さん、お待たせしました。
本質的考察でもしますか。
まあ物理とか理屈系の話って眠くなるよね。
俺の学生時代の講義でめっちゃクドいなって感じてた。
でもそれが「世の中の理」なんよね。
で、まずは俺たちが信じてる(信じてた)パラシュート効果のイメージって
「走っている間、車体の底を通ってきた空気が逃げ場のないリアバンパーの裏側にドバドバ流れ込んで、後ろに引っ張る重りになっている」
いかにもありそうというか、バンパーの裏側を覗き込むと確かに大きな袋状になってるからそう考えるのが自然かも。
でも、ここが流体力学の面白い(というか、意地悪な)ところで、実は「袋になっているからこそ、空気はそれ以上入ってこない」っていう現象が起こっている。
え、逆にー?みたいな。
これらは「死水域(しすいき)」とか「エアクッション」なんて呼ばれてたりする。
身近な例で言うとピックアップトラック。
アメリカのミステリーハンター的な有名実験番組(リンク貼れないから興味あったら探してみて)でやってたんだけど、荷台のあおりを「立てたまま走る」のと、「倒して走る」の、どっちが燃費いいと思う?
普通に倒したほうが空気が抜けて良さそうって思うやん?
でも結果は真逆。
あおりを立てたままの方が、空気抵抗が少なかったっていう。
なぜか?
あおりを立てていると荷台の中に空気が溜まって、そこでグルグル回る空気の渦ができる。
すると後から流れてきた空気はその渦の上をツルンと滑るように流れていく。
つまり、溜まった空気が透明な蓋の役割をしてくれるっていう原理。
んでこれがリアバンパーの中でも起こっている。
バンパーの袋の中に一度空気が溜まったらそこはもう「空気の壁」ができている状態で、後から来る空気はその下をスムーズに通り過ぎていく。
だから、実際はパラシュートにはなっていない。
んへ~そうなのか~。
じゃあ、良かれと思ってバンパーに穴を開けるとどうなるか。
せっかく安定していた空気の蓋が穴から抜けていく。
すると新しい空気が「うぇ~い、隙間があるやん」とバンパーの中に猛スピードで流れ込み、中で暴れまわる。
これが「乱流(タービュランス)」になって車体を後ろに引き戻す強力な力、つまり本物の「抵抗(ドラッグ)」になる。
つまり
「パラシュートにならないように穴を開けたら、実はその穴が原因で本当のパラシュートが完成しちゃった」
っていう笑えない皮肉が起きる。
じゃあ、なんでプロのドラッグマシンとかは穴を開けてるの?って疑問が出てくる。
あれは抵抗を減らすためというより、時速300kmを超えるような超高速域でバンパーが浮き上がろうとする力(リフト)を逃がすためだったり、ミッションやデフの熱を逃がすためだったり、目的が全然別。
一般道やちょっとしたサーキット走行の速度域では、穴を開けて空気をかき回すデメリットの方が、重さ数グラムの軽量化よりもずっと大きい。
空気を逃がすっていう発想自体は悪くないけど、どう逃がすかを間違えると、愛車を遅くするために穴をわざわざ開けている、つまり全損チューンをしているっていうこと。
それならば本当に速くするためにはどうすればいいのか?
穴を開けるのがダメなら、何が正解なのか。
「じゃあ、結局どうすればいいのさ?」って話。
穴を開けるのが逆効果なら、なにをしてらいいんや。
実はここからが空力の面白い、というか本当の沼。
本当に戦わなきゃいけない敵は、バンパーの中に溜まる空気じゃなくて、車の真後ろにできる巨大な負圧。
例えば、車が猛スピードで前に進むとそれまで車があった場所の空気は無理やりどかされる。
でも、車が通り過ぎた直後の場所は一瞬空っぽになる。
んで、そこは気圧が低い真空に近い状態になって、周りの空気と車を後ろからグイグイ引っ張る。
これがドラッグ(形状抵抗)の正体。
で、バンパーに中途半端な穴を開けちゃうと、そこから漏れ出した乱れた空気がこの後ろの真空地帯をもっとかき乱して、さらに大きな引きずる力を作っちゃうってわけ。
これ、実体験なんだけど、前の車…なんだっけ、スズキのMRワゴンだ、あれがコペンの前のセカンドカーだったんだけど、週に2回はスノボに行ってたのよ。
んで、当然ハイスピードで運転するわけ。最高で80㎞/h位だけど()
だからパラシュート効果を低減して燃費を良くしようと考えてホルソーでギュイーンって穴をあけて、これで燃費爆上がりや~って思ってたわけ。
でも実際に運転してみたら、60㎞/h位でなんか違和感があった。
80㎞/hにスピードを上げたら凄い抵抗感。
アクセルをいつも以上に踏まないといけない状況だった。
当然燃費は悪化。
ここでパラシュート効果は嘘なんじゃねって思ったわけです。
逃がすんじゃなくて、整える事こそが空力の正解なんよね。
本当に速い車、例えば最新のGTカーや、燃費を極限まで追求したエコカーの底を見てみてみ。
バンパーに穴なんて開いてないどころか、逆にアンダーパネルで蓋をして真っ平ら。
なぜ蓋をするのか?
それは、車体の下を通る空気を超スムーズに後ろへ流して、さっき言った真後ろの真空地帯を埋めてやるのが目的。
空気がバンパーの袋にぶつかる前にさっさと後ろへ受け流す。
そうすると、車を後ろに引っ張る力が劇的に減る。
じゃあ一般車はどうすればいいのかっていうと、リアバンパー下部がディフューザーっていう車をよく見ると思う。
これはバンパーの中に空気を溜めないだけでなく、床下の空気を引き抜いて後ろに綺麗に捨てるための通り道になっていて理屈にかなってる。
俺のコペンのリアバンパーはディヒューザー形状のやつを付けている。
それはこういった理由だ。
逆にドリルで適当に丸い穴をポコポコ開けるのは、先ほど言った通り全損チューンなわけ。
「見た目がレーシーだからいいんだよ!」
っていうのも、カスタムの楽しみとしてはアリだし、それは否定しない。
でも、「速くしたい」「燃費を良くしたい」と思ってやってるなら、確定で全損チューン。
本当にやるべきなのは、バンパーに穴を開けることじゃなくて、空気にいかにしてスムーズに後ろへ流してやるかってこと。
このけつあな確定問題にどう決着をつけるか。
結論は
街乗りやサーキット走行レベルなら、バンパーに穴を開けるのは『性能アップ』のためじゃなく、100%『見た目のファッション』と割り切る
これが物理学っていう冷徹な世界の現実。
「空気が抜けて良さそう!」と直感で感じることは、目に見えない空気からすれば余計な障害物が増えて通りにくくなったという迷惑な話だったりするわけ。
「コンマ1秒を削りたい」「少しでも燃費を稼ぎたい」と本気で思っているなら、まずは車体の下を覗き込んでそこにある凸凹を、アルミ板や樹脂パネルで塞いで、空気がスムーズに後ろへ流れる「滑り台」を作ってあげること。
あるいは、リアバンパーの下端にちょっとしたフラップを付けて、空気を綺麗に引き抜いてあげること。
外からは全然見えない加工だけど、これこそが「理屈にかなった」本当の空力チューニングってわけなんですわ。
でも「穴あけ加工」を全否定したいわけじゃないよ。
だって、車って性能だけが全てじゃないでしょ?
デフケースやマフラーが見えるメカニカルな雰囲気や溢れ出るレーシーなオーラ。
実際に施工してワクワクする気持ちは、理屈じゃ説明できない「モチベーション的な最高のチューニング」だと思う。
アクセルを踏む自分のテンションが120%に上がるならそれでええやん。
大事なのは、「理屈を知った上で、あえてやるのかどうか」
燃費良くしたかったりタイムを出そうと穴を開けるのはぜんそ(ry
「パラシュート効果をなくすために開けなきゃ!」という強迫観念で穴を開けるのと、「抵抗になるのは分かってるけど、このスタイルが最高にカッコいいから開けるんだ!」という覚悟で開けるのとでは、意味合いがちゃうよね。
科学的に正しい知識を持って、その上で「遊び心」をどう乗せていくか。
それが、大人のDIYの醍醐味なんじゃないかな。
さて、けつあな確定が解決したところで実はかなり怪しい「理屈の穴」がある別のチューニングの話を今度しようかな。




