夢という行先へ
コペンに搭載されているエンジン、「JB-DET」は659cc直列4気筒DOHCターボ。
1994年(平成6年)から2012年(平成24年)までダイハツ工業が生産していた軽自動車用エンジンのターボモデルで通称「森口エンジン」というらいし。
JB-DETはムーヴなどにも搭載されているが(初搭載は902系)、コペンのエンジンはターボなどの補器類、チューニングが従来型とは異なる。
『ムーヴ』『MAX』のものをベースとし、吸排気系の変更や、新開発アブレダブルシールターボチャージャーの採用、ECUのマップ最適化などで、従来比+30%のレスポンス向上を実現。
ストロークはわずか56.4mmの超ショートストロークエンジン。
エンジンブロックは鋳鉄製で、組み合わされるオイルパンはプレス鋼板製。
カムシャフトの駆動にチェーンが用いられているが、これは1994年からすでに採用されていたもので、当時としては極めて先進的な設計。
ピッチは小型の6.35mmサイレントタイプ。
バルブ挾み角は26.6度と燃焼室をコンパクトに収め、ストレートポート構造で吸気流速を高める。
バルブ径は吸気22mm/排気18.5mmで調整シムを除くことでバルブリフト量を稼いでいる。
タービンにはIHI製のRHF-3を採用。
4気筒の排気干渉というネガを消すためにツインスクロールでマニフォールドも「デュアルフロー」の1番4番/2番3番の2系統。
低速トルクの増大を図り、タービン翼枚数を9枚に増やし形状を変更、タービン径は36mmと他と同じだが入口径を絞ったハウジング設計。
仕事側のコンプレッサー側はタービン径37mmのまま、翼数を8としてダブル化。
さらにハウジングとのクリアランスを極力詰めることを目的にアブレーダブルシール(接触しても問題のない樹脂製)を備えることで充てん効率を7%も向上。
アブレダブルシールターボチャージャーとは、コンプレッサーのハウジングに精度の高い樹脂材料を装着、ハウジングとインペラ(タービンの羽部分)の隙間を従来の3分の1に抑え、低回転時の過給レスポンスが大幅に改善している。
これらによりスペックは最高出力64ps/6000rpm、最大トルク11.2kgm/3200rpmと、軽自動車クラストップレベルを実現。
その結果、わずか2,000rpmで最大トルクの90%が発生する。
ブーストは最大0.7kgf/㎠≒0.68kPa
でもカプチーノやAZ-1のようなターボらしいトルク感やパンチはなく、ビートのように高回転までブン回して面白いエンジンでもない。
第一パワートレイン部の宮武昇司氏いわく、
「アクセルに対してリニアに反応する、乗っていて楽しいエンジンです」
「ターボなので、NAよりレスポンスがいいとは言いませんが、どんな領域からでもついてくるレスポンスのいいエンジン」
「吸気側のインペラーとハウジングの隙間を埋めるシールを、通常はアルミなどを使っているところを樹脂にしたことで、万が一タービンに当たってもいいくらいにクリアランスを小さくできました。結果、充填効率を上げてレスポンスを向上しました」
「ECUは時間を掛けてじっくり煮詰めました。2000rpm付近のトルクを積み上げ、低速トルクを太くしました」
以上の説明に加え、パワーカーブや低めの過給圧0.7kgf/㎠から見ても、高回転で突き抜けるターボというよりは、低速トルクとレスポンスを重視した、ライトウェイトスポーツに見合っエンジンなわけでスポーティーさというよりもツアラー的なエンジンなわけだ。
ノーマルタービン実用域性能
コペンのタービンは7000rpmまでは触媒有りが優位でこれよりも上は触媒レスのブーストアップ仕様が優位。
実用域トルクが一番あるのは純正タービン加工無し、触媒あり(出口拡大加工)、適正径のマフラーでトルクを出すには排圧の加減「タメ」が重要。
純正タービンだと85~90馬力くらいで実用域のトルクは広範囲に高い。
それ以上ピークパワーを追及すると低速トルク(実用域トルク)は徐々に下がる。
0km/h-100km/h
通常のコペンは11.97秒(AT)
新型の現行コペンは12.2秒(CVT)
参考
ホンダ ライフ(ターボ) 18.13秒 860kg
ちなみに0-400のタイムは以下
D-TOP(樹脂ルーフ無)17.767秒 800kg PWR12.312kg/ps
A-TOP(電動ルーフ)18.341秒 830kg PWR12.968kg/ps
自動車最前部に位置するラジエター、エアコン用コンデンサなど、骨組み構造物を一体化した軽量で高性能のフロントエンドモジュールをデンソーとダイハツ工業で共同開発し採用、従来比で約30%軽量化を達成。
このフロントエンドモジュールは、熱機器、電気系統、エレクトロニクスなど、幅広い技術を背景に、個々に設計していた複数の部品機能を統合、一体化し、新たな付加価値を創造するモジュール化を実現。
モジュール化による一体設計で、熱機器ゾーンとしての最適設計を行い、熱機器の効率化を達成した。
これによってフロントエンドモジュール全体を小型軽量化できたがいかんせんエアコンの効きが絶望的なのだ・・・